子どもの不登校と起立性調節障害

子どもの不登校と起立性調節障害(OD)の関係

思春期の子どもが「朝起きられない」「体調が悪くて学校に行けない」という状態に陥ることは珍しくありません。その背景には、**起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation, OD)**という身体的要因がある場合があります。起立性調節障害は、心身の健康や学校生活に影響を及ぼし、不登校の原因の一つとして注目されています。本記事では、ODの特徴と不登校との関係、そして親や学校が取るべき対応について解説します。

1. 起立性調節障害(OD)とは

起立性調節障害は、自律神経の調整機能に問題が生じることで、血圧や心拍数が適切にコントロールできなくなる病気です。特に朝の時間帯に症状が強く出ることが特徴で、以下のような症状がみられます:

朝起きられない(体がだるく、動けない)

立ちくらみやめまい(特に立ち上がったとき)

動悸や息切れ

頭痛や集中力の低下

疲れやすい(少し活動しただけで体力を消耗する)

これらの症状は、成長期の子どもに多く見られ、特に小学生高学年から中学生にかけて増える傾向があります。

2. 不登校との関係

起立性調節障害を抱える子どもは、症状の影響で学校生活に困難を抱えることが多く、不登校に至るケースも少なくありません。その背景には次のような要因があります:

(1) 身体的な困難

ODの症状により、朝起きること自体が難しく、登校準備が整わない。また、授業中に集中力を維持することも難しいため、学校生活そのものが負担になります。

(2) 周囲の誤解

体調の問題で登校できないにもかかわらず、周囲から「怠けている」「やる気がない」と誤解されることがあります。このような誤解は子どものストレスを増大させ、不登校がさらに長引く要因となります。

(3) 心理的影響

ODによる体調不良が長引くと、「また学校に行けなかった」という罪悪感や無力感が生じ、自己肯定感が低下します。また、友人関係が希薄になることで孤立感が強まり、不安や抑うつを併発することもあります。

3. 起立性調節障害の診断と治療

ODが疑われる場合、早期の適切な治療が重要です

(1) 診断

小児科や循環器科を受診し、詳しい問診や体位変換試験(立った状態での血圧や心拍数の変化を測定)を行います。診断を受けることで、「怠けではなく病気である」という安心感を得ることができます。

(2) 治療と生活改善

薬物療法:ミドドリンやβ遮断薬など、血圧や心拍数を調整する薬が処方されることがあります。

生活習慣の見直し:

十分な水分補給と適度な塩分摂取

夜更かしを避け、規則正しい睡眠を確保

朝食をしっかり摂る

4. 家庭や学校での支援

ODを抱える子どもにとって、家庭や学校のサポートは回復への鍵となります。

(1) 家庭でのサポート

体調を最優先:無理に登校を強制せず、子どもの体調に合わせた対応をする。

共感を示す:「怠けではない」ことを理解し、安心感を与える。

リラックスできる環境作り:音楽やストレッチ、軽い運動を取り入れ、ストレスを軽減する。

(2) 学校でのサポート

柔軟な出席対応:午前中は休む、分割登校、オンライン授業を活用するなど、子どもに負担の少ない形での参加を提案。

理解と配慮:教師やクラスメイトにODについて正しい知識を広め、誤解を防ぐ。

保健室との連携:体調不良時には保健室で休憩できる環境を整備。

5. 子ども自身ができること

ODを抱える子どもでも、自分でできることがあります。これを通じて自己肯定感を取り戻しやすくなります。

体調管理:水分や栄養を意識し、自己管理の意識を高める。

少しずつの目標設定:「朝30分だけ起きる」「午後の授業だけ参加する」など、小さな目標を達成することで前進を感じられる。

ポジティブな活動:趣味や特技を活かして、自分のペースで成功体験を積む。

6. まとめ

起立性調節障害と不登校は、単なる怠けや甘えではなく、子どもの身体と心のバランスが崩れている状態です。子どもの不調を理解し、家庭、学校、医療の三者が協力して支援することで、少しずつ症状が改善し、学校生活に復帰する道が開けます。大切なのは、子どものペースに寄り添いながら、その努力を認め、励ますことです。

必要に応じて専門家や支援団体の助けを借りながら、子どもの回復を温かく見守りましょう。

本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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